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分子構造解析部 機器詳細

走査プローブ顕微鏡

走査プローブ顕微鏡
  • 管理番号:05
  • メーカー:ビーコ (Veeco)
  • モデル番号:Nanoscope V/MMAFM
  • 機器区分:顕微鏡
  • 利用者区分:区分なし

概要

[装置概略]
走査プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscopy: SPM)は、ナノサイエンスやナノバイオサイエンスの研究に必須である物質(固体、高分子物質、ナノマテリアル、蛋白質や生体膜などの生体高分子やその集合体、バイオマテリアル、および細胞等)のナノスケールの表面構造や力学特性、および相互作用に関する詳細な情報を提供する装置である。

仕様

[測定原理]
原子間力顕微鏡(AFM)のコンタクトモードの測定では、カンチレバーの先端にあるプローブ(探針)と試料表面を接触させて、その間にはたらく力をレーザー光の反射を用いた光てこ方式で測定する。 測定できる力の範囲は、ほぼ 10pN から 100nN までである。 この力が一定になるように、試料の高さ(試料と探針間の距離)をピエゾスキャナーにより調整しながら(フィードバックコントロール)、試料を 2 次元(XY)方向に動かし、"力一定の条件" での試料の表面構造を決定する。 また、試料の 2 次元方向の位置を固定して、その位置での試料の表面と探針間に働く力をそれらの距離の関数(フォースカーブ)として求め、試料の力学的性質の情報を得ることができる。 さらにタッピングモードの測定では、カンチレバーを共振周波数近傍で加振させた状態で試料表面に近づけ、断続的に探針を試料に接触させ、探針・試料間に働く力をカンチレバーの振幅変化に変換して検出し、その振幅が一定になるように制御して試料表面を走査して、試料の表面構造を観察する。 ハーモニクスなど他の測定モードについては省略。
[測定方法]
使用するピエゾスキャナーやセルが目的により異なるので、利用する人が毎回装置を組み立てて、レーザー光の光軸合わせや反射光の検出のためのミラーやフォトダイオードの調整をおこなう(1 日の実験が終了したときは装置を分解してもとにもどす)。 試料の位置を XYZ 方向に高精度に調整するピエゾスキャナーは、10μm × 10μm (水平軸)× 2.5μm (垂直軸) の走査範囲を持つスキャナーと、125μm × 125μm × 5μm の走査範囲を持つスキャナーがある。 試料はスチール製の固定円板(直径 12 mm)に接着剤などで固定する。 試料の大きさは最大で水平方向 12 mm × 12 mm、厚さ 5 mmであるので、それ以下のサイズに調整し、底面は平滑に、測定したい表面部分は水平になるようにする。 AFM は、ナノメーター領域の高さ情報を得ることができるが、1μm 以上の凹凸がある試料の測定は困難である。 カンチレバーは目的にあわせて、各自が購入して持参する。 セルは大気中測定用のものと、水溶液中測定のものがある。 試料の温度制御も可能である。
[応用]
AFM を用いて、大気中や水溶液中の固体や、蛋白質・核酸・生体膜などの生体高分子の表面構造の観察やそれらの相互作用の研究、およびそれらの粘弾性の測定が可能である。 雲母(マイカ)のような弾性率の大きい結晶性の固体表面では、原子レベルの高分解能の観察が可能であるが、蛋白質などのような "柔らかな" 試料の場合は分解能が低下する。 また水溶液中の測定が可能であるので、水溶液中の蛋白質やその複合体の構造の観察、1 分子の蛋白質の力によるアンフォールディングやリフォールディングの研究、蛋白質と蛋白質(または低分子)の間の結合力の測定、生体膜や脂質膜の相分離などの表面構造の観察などが可能である。 さらに温度や溶液条件の変化および他の物質との相互作用による上記物質の構造の時間変化を大気中および液中で「その場観察」することが可能である。
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