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ニュース 2023.02.27

【プレスリリース】植物間コミュニケーションによって,植物が将来起こり得る被害から身を守る仕組みを解明

【プレスリリース】植物間コミュニケーションによって,植物が将来起こり得る被害から身を守る仕組みを解明

 ― 香り物質を,身を守る配糖体に変換する酵素遺伝子を発見 ―

植物ストレスマネージメントコア 大西利幸教授,京都大学 生態学研究センター 高林純示名誉教授,筑波大学 生命環境系 杉本貢一助教,サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社 小埜栄一郎主任研究員,山口大学大学院 創成科学研究科 (農学系学域) 松井健二教授らの研究グループは,サントリー生命科学財団,名古屋工業大学,国際医療福祉大学と共同で,植物の防御力を強化する配糖体の生成メカニズムを解明することに成功しました。

昆虫に食べられた植物は香り物質を発散します。被害を受けた植物から発散された香り物質は,危険を知らせる「警戒情報」として近くの健全な植物に取り込まれます。この香り物質 (警戒情報) を取り込んだ健全な植物は,前もって防御を開始します (植物間コミュニケーション)。この受容から防御にいたる機構の一つに,健全な植物が取り込んだ香り物質を配糖体に変換することがトマト株でわかっています。しかし,健全なトマト株が,「どのように」香り物質を配糖体に変換しているかは分かっていませんでした。私たちは,植物間コミュニケーションによって植物が身を守る仕組みを解明するために,香り物質を配糖体に変換する酵素の探索に取り組みました。

【研究のポイント】
・植物間コミュニケーションによって,植物が将来起こり得る被害から身を守る仕組みの一つを分子レベルで明らかにしました
・植物の身を守る配糖体を香り物質から生み出す酵素 (配糖化酵素: UGT91R1) を発見しました

【今後の展開】
トマト,メロン,チャ,ナス,イネなどの多くの農作物は香り物質を配糖体に変換します。今回の研究成果は,配糖体を生み出す配糖化酵素やその遺伝子を制御することで,多様な農作物において病害虫に強い品種の開発に繋がると期待されます。また香り物質を農作物に人工的に処理することで,病害虫に強い形質を与えることができ,農業被害の軽減,病害虫駆除の省力化など農作物生産の経済性を向上させることができます。

本研究成果は,2023年2月8日に国際雑誌「Nature Communications」オンライン版に掲載されました。

詳細はこちらから静岡大学のニュース記事をご覧ください。

2月24日、静岡県庁での記者発表の様子も下記リンクよりご確認ください。
大西 利幸 教授 が 研究成果を記者発表しました|新着情報|静岡大学 (shizuoka.ac.jp)
中日新聞WEB記事 ※有料となります。

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