グリーン科学技術研究所について
所長あいさつ
社会・環境変化に柔軟に対応できる知識集約型グリーン科学技術の構築
世界的な環境悪化や地球温暖化の影響は地域ごとに異なります。しかし、あらゆる生物の生存に対して、深刻な被害を与える可能性があることは世界共通です。これらの問題を解決するために、グローカルな視点に立ち、世界中のどこでも適用可能な科学技術の革新が求められています。これを達成するために、異分野の先端研究を融合させた学際的アプローチの推進が不可欠であります。このような深刻な社会・環境の変化に対応できる知識集約型グリーン科学技術の構築を目指し、2013年4月に時代を先取りした組織として研究所が誕生しました。2022年4月からは、これまでのグリーンエネルギー、グリーンバイオ、グリーンケミストリーの3研究部門制と技術面から支える研究支援室を進化・深化させ、7研究コア制(グリーン分子創造技術・生物分子機能・植物ストレスマネージメント・植物ゲノミックス・フィールドインフォマティクス・超分子・分子集合体・新エネルギー)を発足しました。各研究コアの構成員である本学の研究フェローや若手重点研究者は、世界をリードする基礎的・独創的研究に取り組んでおり、国内外の共同研究、地元自治体との積極的な連携により、社会に対する責任を果たしていきたいと考えています。また、創造科学技術大学院と一体となって、高度技術者や人材育成にも取り組んでいきたいと考えています。本学のミッションでもある「自由啓発・未来創成」の理念のもと、構成員が一丸となって環境・命を支えるグリーン科学技術研究の先導革新研究に取り組んでいく所存です。
研究所紹介
静岡大学グリーン科学技術研究所とは、地球資源やエネルギーの再生・利用、自然共生による循環型・低炭素社会実現のために、新たな環境・エネルギー・バイオ・化学分野の科学技術を創造する、基礎から応用までの出口を見据えたグリーン・イノベーションを推進するために設立された研究所です。 研究所の中には7つの研究コアが設置されています。それぞれの研究コアにおいて、独自のミッションに基づいた研究を行っています。個々の研究グループと個々の研究部門は、アプローチの方法こそ異なりますが、その研究内容は互いに複雑に関わり合っています。それぞれの研究成果が集約・統合されることで、人類と社会を、現在直面している諸問題の解決へと導くことを目指しています。
目標
1)グリーン科学技術による資源およびエネルギー生産・低炭素循環型社会形成のための技術移転と高度研究者・技術者の人材育成およびグローカル教育研究を推進する。 2)グリーン科学技術に関る地球環境および生態系保全や自然システムとの共生による科学技術の開発、有効資源の再生・利用の開発、自然エネルギーや低炭素循環の開発等、それら技術の適用における社会的影響の評価手法を確立する。 3)生物の分子認識能を活用した高齢化・高福祉における安全・安心な社会の実現、再生可能な資源・エネルギーを基盤とする循環型社会実現への新たな学術貢献のための研究を推進する。パンフレット
研究コア(健康)
(SDGs3(健康)・9(技術革新)・12(責任))
グリーン分子創造技術コア(Molecular Green Technology, MG-Tech)
・ファインケミカルズ・ペプチド創薬・遺伝子の異常・持続可能なものつくりシステム・健康
健康的ライフスタイルを維持するため疾病に対する予防と治療の高度化が必要である。予防と治療に貢献する分子のデザイン・合成・評価・生産の技術革新によるグリーンプロセス化を確立する。
間瀬暢之・鳴海哲夫・大吉崇文・中村彰彦・佐藤浩平
(SDGs3(健康)・9(技術革新)・12(責任))
生物分子機能研究コア(Molecular and Biological Function research core, MB-F research core)
・生物機能・ナノ素材・組換えタンパク・ウイルス検出・ワクチン
感染症や疾病等リスクが顕在化する現在の経済社会や国民生活において、バイオマテリアル、分子認識機能、糖質素材創出により、健康増進、健康寿命延伸及びQOL向上に貢献する。加藤竜也・宮崎剛亜・丑丸敬史
(SDGs3(健康)・9(技術革新)・12(責任))
研究コア(食料)
(SDGs1(貧困)・2(飢餓)・4(教育)・8(働きがい)・12(責任)・13(気候変動)・15 (陸の豊かさ))
植物ストレスマネージメント(Plant Stress Management, PS-Mgt)
・食料・環境ストレス・気候変動・グリーン農作物生産
気候変動など環境ストレスに耐えうる農作物生産の向上を目標に,環境ストレスを低減するストレスマネージメント化合物の探索や創出,またストレスマネージメント機構を解明する。
大西利幸・轟 泰司・原 正和・崔 宰熏・竹内 純
(SDGs2(飢餓)・13(気候変動)・15(陸の豊かさ))
植物ゲノミックス(Plant Genomics)
・AI・ゲノム・有用遺伝子・イネ・コムギ
地球規模の気候危機下で食料危機のパンデミックが懸念される中、ゲノミクスに基づいて植物の遺伝的改良・改変を行い、地域の環境に適した遺伝子型を持つ作物を選定・育種する。
富田因則
(SDGs1(貧困)・2(飢餓)・13(気候変動))
フィールドインフォマティクス(Field Informatics)
・IoT/AI情報協働栽培支援・植物生体解析・光合成・自然言語処理の医療・健康応用・行動変容・ゲノム育種・植物機能性制御
食料の安定・計画生産や機能性向上だけでなく,労働条件の改善や生産者の健康応用,行動変容を促す持続可能なフィールドインフォマティクスに関する研究を進める。
峰野博史・本橋令子・狩野芳伸・一家崇志
(SDGs8(働きがい)・4(教育)・12(責任))
研究コア(環境)
(SDGs6(水)・7(エネルギー)・9(技術革新)・12(責任))
超分子・分子集合体(Supramolecule/Self-Assembly)
・ホスト化合物の合成・有害イオンの検出と除去・固体触媒・電池材料
超分子・分子集合体の設計・作製・機能発現に関連する研究を通して、グリーン科学技術を確立する。
小林健二・近藤 満・加藤知香・守谷 誠
(SDGs7(エネルギー)・9(技術革新)・12(責任))
新エネルギー(Renewable Energy Research group)
・微生物生態工学・物質変換・環境調和型エネルギー・プラスミド学・持続可能エネルギー変換
カーボンニュートラル社会の構築に向け、水素の効率的製造に関する研究研究・技術開発・社会実装を推進する。二又裕之・平井浩文・木村浩之・新谷政己・松井 信
(SDGs6(水)・7(エネルギー)・9(技術革新))