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2017年04月14日

カサレト教授の研究が朝日新聞に掲載されました

グリーンバイオ研究部門 カサレト教授の研究が、3月30日の朝日新聞朝刊 科学欄に掲載されました。


<研究内容>
サンゴの白化の原因解明とサンゴの防御機構の新たな証拠


サンゴの白化の原因のメカニズム解明に関しての調査研究では、サンゴの白化の原因はほぼ突き止め、従来の説の誤りを明確にした。
当時にサンゴの白化はサンゴが被害者という考えで、その外部の要因(褐虫藻、バクテリア、海水温、紫外線等の影響)との関わりを調査研究し、その影響の程度を明確にしてきた。

サンゴの白化は、体内で生成する活性酸素(過剰な褐虫藻によるクロロフィルaの増加や紫外線の強度の増加が関係)を壊すことが明らかである。
サンゴの白化はサンゴ内部での褐虫藻の凝縮、透明、分裂が起こり、光合成色素・蛍光が喪失し、かつ褐虫藻が体内で60%近く喪失する(サンゴによる消化の可能性)ことにより起こることを実証した。
体外への褐虫藻の放出は、異常な細胞を主に放出する(0.5%以下)これはサンゴが不要な細胞を排出するサンゴの正常な生命維持で、さらに高水温下で生成が増加する活性酸素を減少させるために、褐虫藻のクロロフィルa(活性酸素を発生する)シクロエノールに変換し、光毒性を軽減していることも明らかにした。白化はバクテリアが加速することも明らかにした。
白化の原因は高水温だけでなく、バクテリの関与、サンゴの生存戦略(飢餓状態からの回復)等が複雑関与していることが初めて明らかにされた。

白化の研究はサンゴが高水温下での被害者として、なすすべがない状態と考えられてきたが、メカニズムの解明を通じて、白化時のサンゴの飢餓状態をいかに改善するか、あるいは餌をどうするか、抗酸化物質(ビタミンEはサンゴ体内のバクテリが生成)をどう増やすか、新たな研究段階に進んでいる。

大事なことは白化や病気を起こしていても、あるいは微細藻類が表面に繁殖していても、サンゴ内の正常な褐虫藻はゼロではない。
さらに褐虫藻の細胞数は高水温と高水温+傷の複合ストレスで減少したが、細胞当たりの色素量は複合ストレスで増加しており、サンゴ表面積辺りの光合成能の確保ができていると言える。
光合成活性は高水温条件で通常の水温と同等の数値であり、高水温+傷の複合ストレスでも通常の水温で傷のみの条件とほぼ同等の数値であった。
このことからも、複合ストレス条件で褐虫藻細胞数の減少が起こっても、光合成能を保ち、ストレスのなくなった後に回復する可能性が示された。
サンゴの防御機構(免疫機構?:サンゴ自身には免疫機構はないと報告されている)が発動したのではないかと考えられる。

サンゴの病気の一つと考えられる、瀬底や備瀬で多く見られるピンクスポットにしても、ピンクの部分からは活性酸素の減少に関わるクロモプロテインが検出された。
これらにことから、サンゴの生命維持・正常な成長のメカニズム解明にはサンゴの防御機構・免疫機構を解明することにある。サンゴの組織からは抗菌成分やウイルスによるファージ(病原菌を食するウイルス)を発見している。

これらのことから、本プロジェクトの課題としてはサンゴの生存戦略の解明、免疫システムの解明を今後進める。